「海が燃えた日― 究極のヨットレース、アメリカズカップに挑戦したニッポンチーム」

発行・舵社、A5版・上製232ページ、価格2100円。本書の売り上げ印税はJSAFを通じて、東日本大震災地のセーラーに寄付されます。全国の書店で購入可能です。

 

 山崎達光JSAF名誉会長、武村洋一JSAF前事務局長の共著による書籍「海が燃えた日― 究極のヨットレース、アメリカズカップに挑戦したニッポンチーム」が上梓されました。

  タイトルを読めば内容は一目瞭然。過去、3回にわたってアメリカズカップに挑戦したニッポンチャレンジの活動を山崎氏と武村氏が書き留めたものですが、しかしそれだけにはとどまりません。

本書の構成は3章に分かれており、武村氏による第1章「アメリカズカップとニッポンチャレンジ小史」には、簡潔な文章でこの2つの歴史的な流れがまとめられています。ニッポンチャレンジに関しては歴史だけではなく、その成り立ち、戦いの経過、クルーたちの成長の様子、挑戦の意義などがまとめられており、この章だけでアメリカズカップやニッポンチャレンジの概要が手に取るようにわかります。

第2章「ニッポンチャレンジはこう戦った」は、ニッポンチャレンジの立ち上げから3回の挑戦の流れが、山崎氏の「今だから話せる」といったエピソードをまじえて綴られています。あのとき、そんなことがあったんだ、とびっくりさせられる内容の話もあり、興味津々で一気に読んでしまいます。

  そして第3章は「なぜ挑戦しないのか!」。実は本書のキーワードは「挑戦」なのです。1992年、95年、2000年と3度の挑戦を行なったニッポンチャレンジにつづく日本からの挑戦を熱望する著者2人の熱い思いがこの章にあふれています。
本書には河野博文JSAF会長の序文が寄せられており、そこには「(本書は)私には、私たちヨット界の後輩への檄に思える」とありますが、まさに正鵠を射ています。シームレスなセーリングを目指すJSAFの活動の行き着く先のひとつがアメリカズカップ挑戦であれば、そしてそれが常に目標の中にあれば、ベテランセーラーの夢を若いセーラーに継いでもらえることでしょう。

  奇しくも2012年はニッポンチャレンジがアメリカズカップ初挑戦を果たした1992年から数えて20年目にあたります。本書をきっかけに、日本のセーリング界のアメリカズカップ挑戦の意義をもう一度考えてみたいと思います。

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