2013年開催予定
第34回アメリカズカップについて(その4)

2010年10月14日

アメリカズカップレースマネージメントCEOのイアン・マーレー photo by 34th America’s Cup

第34回アメリカズカップの議定書を解説する西村一広さんの連載ですが、今回は番外編として、一昨日、西村さんにメールで届いたある招待状についてご紹介します。

招待状の送り主はアメリカズカップレースマネージメントCEOのイアン・マーレー。送付先は「第34回アメリカズカップに挑戦する可能性のあるヨットクラブへ」となっています。

招待状のタイトルは「第34回アメリカズカップに挑戦する可能性のあるヨットクラブへの説明会・打ち合わせ会」というもの。

来週の金曜日、10月22日にフランス・パリで開催されるこの会議は、34th America’s Cupの開催地最終決定も含めた、レースフォーマットの詳細や、AC72とAC45のクラスルールの変更点などが話し合われます。

また、この会議の内容は、極秘裏に挑戦準備を進める必要のあるチームの事情を考慮することもあって、メディアには公表されないとのこと。

どんなチームが集まるのか、具体的にはどんな発表があるのか、それを受けてどんな議論が交わされるのか、興味は尽きません。(レポート/西村一広)

アメリカズカップ http://www.americascup.com/

コンパスコース http://www.compass-course.com/

2013年開催予定
第34回アメリカズカップについて(その3)

2010年10月7日

アメリカズカップの行方は…… photo by 34th America's Cup

第34回アメリカズカップの議定書(プロトコール)が発表された。アメリカズカップの動向に詳しい西村一広さんに解説をお願いした。数回に分けてのブログ掲載となる。(編集部)

(1)第34回アメリカズカップ議定書の基本理念(その2)

アメリカズカップ艇のメインセールのトップに掲げられたロゴマークや、その他アメリカズカップに関するすべての知的財産権と版権は、これまではアメリカズカップ・プロパティズ・インク(ACPI)という法人が保持し、その経営権は1986年以降、防衛者から防衛者へと引き継がれてきた。

第33回アメリカズカップの防衛者だったスイスのアリンギとそのヨットクラブは、今年2月の巨大なマルチハル艇による一騎打ちで破れた後1カ月が経っても、新しい防衛者であるゴールデンゲイト・ヨットクラブ(GGYC)とBMWオラクルレーシングにその権利を譲渡しなかった。

GGYC側はアリンギがその手続きを進めるよう裁判所に訴え、その訴えが認められて、3月26日、アメリカズカップに関係するすべての知的財団権と版権を持つACPIの経営権は、現防衛者のGGYC側に委譲された。

その際、GGYC側は、その交換条件としてスイス側から要求されていた『第33回アメリカズカップでスイスが使ったセールは自国で作ったものではないため、贈与証書に違反している、という案件を含む3件の訴訟を取り下げること』に同意した。

さて、これまでの防衛者は、ACPIの経営権を持つことでアメリカズカップ関係の知財権を独り占めしてきたのだが、今回の議定書では、それらアメリカズカップにまつわる一切の知財所有権は、アメリカズカップ・レース・マネジメント(ACRM)がすべて引き継いで所有・管理することになり、ACPIという法人は存在しないものになっている。そして、第34回アメリカズカップによってそれらの版権使用料やレース開催で得た利益は、ACRMと参加した全チームとで分配する(平等分配ではなく、成績に応じて)ことも記されている。

まさに、「挑戦者側にもフェアなアメリカズカップを」と主張し続けてきたラッセル・クーツの言葉どおりの理念が見える部分である。(この項つづく)

番外・第34回アメリカズカップ最新情報

もう最新情報とは言えなくなってしまったが、10月1日、第33回アメリカズカップ挑戦を目論んで結成されたイギリスのレーシング・チーム、チーム・オリジンのオーナー、キース・ミルズ氏は「第34回アメリカズカップ挑戦を断念する」と発表した。その理由とは?

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2013年開催予定
第34回アメリカズカップについて(その2)

2010年9月30日

 

第34回アメリカズカップ議定書は9月13日に発表された。右はラッセル・クーツ photo by Gilles Martin-Raget

 

(1)第34回アメリカズカップ議定書の基本理念

発表された第34回アメリカズカップの議定書の中で、アメリカズカップ関係者やファンの間でもっとも注目を集めたのは、どんな艇種が採用されたのかだろう。

挑戦を目論んでいるチームにとっては、次回のマッチで採用される艇がモノハルかマルチハルかによって、艇の研究・開発やトレーニング・プログラムの最初のアプローチがまったく異なってくるからだ。
もちろん、チームに雇い入れるデザイナーやビルダー、セーラーの選択にも、大きく影響する。

第34回アメリカズカップで採用されることになったのは、全長72フィートのウイングセール付きのカタマランである。
このAC72と呼ばれるクラスの詳細については、項を改めて詳しく説明することにする。

艇種のほかに今回の議定書で注目されるのは、レースを運営するのが、挑戦者サイドと防衛者サイドから完全に独立した組織であるアメリカズカップ・レース・マネージメント(ACRM)になるということ。
そして、2011年から本戦までのあいだ毎年開催されるアメリカズカップワールドシリーズという、これまでのアメリカズカップでは見られなかったまったく新しいレースフォーマットが登場した、という2点だろう(最終的な挑戦者決定戦と防衛者決定戦のレースフォーマットについては、後日発表される)。

これまでのアメリカズカップの歴史の中で「必須条件」だとも考えられてきたモノハル艇に決別してマルチハルを採用するという思い切った決定に加えて、上記の2つこそが、160年近い歴史を持つアメリカズカップで防衛者たちが作ってきたこれまでの議定書と一線を画すものであり、未来のアメリカズカップの方向性を模索した結果の「理念」を表わしていると思う。

さて、前回の第33回アメリカズカップの防衛者だったスイスのアリンギは、レースのジュリーを自分たちで任命しただけでなく、レース運営自体をも自チームに有利なようにコントロールしようとしたことはよく知られた事実だ。

2010年2月14日のバレンシアでの第33回アメリカズカップ第2レースでのこと。

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ツインズ

2010年9月29日
 

さわやかツインズ

 

千葉国体が終了しました。
J-SAILINGのカメラマン、ハマヤからの現地レポートです。

国体は29日の最終日にしてやっとお天気が回復。

この日は女子の成年女子シーホッパー、少年女子シーホッパー、成年女子セーリングスピリッツ、少年女子セーリングスピリッツの4レース。

セーリングスピリッツは成年女子、少年女子ともに僅差の展開で、最終レースですべてが決まる大事なレース。

このレースで注目されたのが少年女子セーリングスピリッツの佐賀県代表山口優選手。

実は山口選手、二卵性の双子で、昨日の少年男子セーリングスピリッツで優勝を決めた福岡県代表の山口寛規選手の双子の姉。

山口優選手が優勝すれば、「双子で優勝」と素敵な展開に。

そして、期待通り山口優選チーム優勝。

「すごいですね! 双子で優勝!!」と話しかけたところ、山口寛規選手が「優勝した時にしていたネックレスを姉(山口優選手)に貸してたから」。

そんな話を聞かせてくれた山口寛規選手。
山口優選手もニコニコしながら話をしてくれました。

双子優勝おめでとうございます。

双子っていいですね。(レポートと写真/濱谷幸江)

 

千葉国体 http://www.kokutai-2010chiba.jp/
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ブログもあります。http://ameblo.jp/sachie-gumi/

2013年開催予定
第34回アメリカズカップについて

2010年9月29日

第34回アメリカズカップの議定書

第34回アメリカズカップの議定書(プロトコール)が発表された。日本にはそれほど関係ないかなかと思っていたら、「次はどうなるんだろうか」という会話が日本人セーラーの間でしばしば交わされているという。そこで、アメリカズカップの動向に詳しい西村一広さんに解説をお願いした。ただし、かなり複雑な内容なので、数回に分けてのブログ掲載となる。まずは、プロローグとして2007年のおさらいから。(編集部)

2007年7月3日。スイスのジュネーブ・ヨットクラブ所属のアリンギの勝利で第32回アメリカズカップが終了した。そしてそのわずか2日後、アリンギは素早く第33回アメリカズカップ議定書を発表。しかし、その議定書が発端となって、第33回アメリカズカップは迷走に次ぐ迷走を始めた。

その議定書が発表されるとすぐに、BMWオラクルレーシングをはじめとする複数の挑戦予定チームが、あまりに防衛側有利に作られているその議定書にいっせいに反発した。

それにつづき、挑戦者代表として防衛側から指名されたスペインのヨットクラブが、防衛側が不正に仕立てた、会員さえいない実体のない傀儡(操り人形)ヨットクラブであることが判明した。

この辺りから第33回アメリカズカップは2年半にわたる裁判所での混乱に突入したのだったが、今年2010年2月、裁判所から正式に挑戦者代表として認められた米国サンフランシスコのゴールデンゲイト・ヨットクラブが送り出したBMWオラクルレーシングが、圧勝で第33回アメリカズカップを制したのは、ご存知のとおり。

つまり、前回の第33回アメリカズカップの混迷は、あまりに防衛者側に有利で、アンフェアな議定書から始まった。

だから、前回の挑戦者たちの急先鋒になって防衛側と裁判所で徹底的に闘い、2年以上をかけて海上での一騎打ちに持ち込み、そこで正々堂々とアメリカズカップを勝ち取ったゴールデンゲイト・ヨットクラブが、自らで定めた提出期限までに、どのようにフェアな第34回アメリカズカップ議定書を作り上げてくるのかに、挑戦を目論んでいる関係者たちの関心が集まっていた。

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