お久しぶりっす! ピーターさん

2011年6月20日
 
 

日本語を交えてのピーターの話は説得力十分。3時間があっという間に過ぎ去った

 

 

ピーター・ギルモアさんが久しぶりに日本のセーラーに会いに来てくれました。

日本ヨットマッチレース協会(JYMA、戸谷壽男会長)からの依頼を快諾し、コリア・マッチカップを終えたばかりのヤンマーレーシングチームのピーター・ギルモさんが、チームマネージャーの谷路泰博さんとともに、6月18日、横浜ベイサイドマリーナでマッチレースに関する講演を行いました。

講演の内容は「最新のテクニックと、マッチレース界の現状と展望」というもの。
50人以上のセーラーが集い、3時間に迫ろうとする講演に熱心に聞き入りました。

印象的だったのは、テクニック云々よりも、マッチレースを勝つために必要な精神的、心理学的な側面に深く言及したこと。
勝負の90%以上は精神的な側面で決するという話は、ピーターが語ると十二分に説得力があります。

チームニュージーランドとアリンギの間で戦われた2007年の戦いを、「スコアボード・プレッシャー」(あと1つ勝てば優勝すると考え、自らがプレシャーの中に陥る現象)から解説した下りは非常に説得力があり、聴衆の耳目を集めました。

テクニック面での解説も忘れてはいません。
スタート前の時間とスピードのマネージング方法に関しても、日本の一般セーラーにはあまり知られていないテクニックを披露し、皆をくぎづけにしました。

ピーター・ギルモアさんはマッチレース世界選手権4回優勝、現在もマッチレース世界ランキング11位。
それよりも、ニッポンチャレンジのスキッパーとして2000年のアメリカズカップ挑戦で活躍したセーラーという方がわかりやすいでしょう。
現在はヤンマーレーシングチームを率いて世界のマッチレースを戦うとともに、ワールドマッチレースツアーのディレクターとしてマッチレース界を牽引しています。

ヤンマーレーシング http://www.yanmar.co.jp/en/racing/
日本ヨットマッチレース協会 http://www.matchrace.gr.jp/

練習中のヤンマーレーシングチーム(photo by YANMAR Racing)

沖縄-東海ヨットレース
12年4月29日12時 スタート

2011年6月15日

沖縄-東海ヨットレース2012のポスター

 

沖縄-東海ヨットレース2012の案内が発表されました。

長距離レースの準備に早すぎるということはありません。
下記の内容を読んで、一歩を踏み出してください。

                 *

共同主催:(財)日本セーリング連盟、JSAF外洋東海
運営:沖縄-東海ヨットレース2012 実行委員会
レース日程:スタート 2012年4月29日(日)12時
           タイムリミット 2012年5月9日(水)12時
コース:沖縄県宜野湾市・宜野湾港沖 → 愛知県蒲郡市・ラグナマリーナ沖(720海里)
クラス:クルーザークラス、レーサークラス、ダブルハンドクラス
参加資格:
・JSAF登録艇であること
・LOA9m以上のモノハル艇
・船舶検査証書「近海」を有する艇(臨時航行検査証書は不可、臨時(航行区域)変更証書は可)
・JSAF-OSR カテゴリー3以上
・沖縄-東海ヨットレース特別規定に適合する艇
(ライフラフト(乗員100%、近海仕様)、406MHz 衛星EPIRB、ビルジポンプ2台、衛星携帯電話(複数台装備を推奨)、近海セット+パラシュートフレア4本、ライフブイ)
・IRC2012(ノーマル以上)の証書を有する艇
・レース期間中有効な保険に加入していること
・艇長はJSAF外洋加盟団体の会員で150 マイル以上のレースを経験していること
・乗員は全員JSAFのメンバーであること
出艇料:1艇 300,000円
申込み締切:2012年1月20日(金)
問合せ先:
E-mail:okinawa@tosc.jp
URL:http://okinawa.toscrace.jp/

詳細は上記サイトで公示します。(沖縄-東海ヨットレース2012 実行委員会)

沖縄-東海ヨットレース2010のスタート(写真・鈴木教之)

緊急時などでレース中のエンジンの使用が認められます ―安全な外洋レースのために―

2011年6月12日

 

エンジンの使用の条項の新設
   最新のルールブック(RRS2009-2012)から規則42.3(h)が新設され「帆走指示書で規定された状況において、艇がそのレースで明らかに有利にならない場合には、エンジンまたは他の方法で推進することを許可することができる。」が明記されました。
   もちろんヨットレースは風と水のみを用いて競技せねばならないので、レース中はエンジンを使ってはいけないことになっています。エンジンを搭載しているレース艇は、スタート海面まで機走して来ても、予告信号までにはエンジンを切ることが必要です。
   しかし、海外では過去からファストネットレースやシドニー・ホバートレース、世界一周レースなど本格的な外洋レースで、一度避難してから再度レースを続行できる規定とともに緊急時や荒天時のエンジンの使用が帆走指示書などで認められてきました。旧NORC時代の外洋レース規則でもエンジンの使用が規定されていました。
   ただし、過去のIYRRやRRSでは、推進方法でエンジンの使用が可能と解釈できる条項がなく、エンジンの使用を記載している帆走指示書自体がルール違反ではないかと見る向きもありました。とくに推進方法についてレース中に海上で厳しくペナルティを課すようになってきたので、レース中のエンジンの使用などもってのほかと思われる方も多かったと思います。

 

エンジンの使用の規定方法
   たとえば長距離の外洋レースでは天候の悪化に遭遇したり、細かい操船が不可能な大型船が迫って来ているのに、風が弱かったり潮が強くて大型船を避けられない事態に陥る可能性があります。外洋でなくても大型船が次々と行きかう海域を横切らなければならないレースもあります。
   このようなことが想定されるレースでは、新設された規則42.3(h)を活用して、帆走指示書でエンジンの使用を規定して、危険を回避することが危機管理上重要です。ではどのように規定すればよいのでしょうか?
    最新の外洋レース規則2009(2009とありますが、作成が2009年ということで、次の外洋レース規則改定まで有効です)を適用規則にすると、その第3条で「エンジンの使用」が規定されているので、帆走指示書内で記載しなくても緊急時のエンジンの使用が認められます。
   外洋レース規則2009を適用規則にしない場合は帆走指示書で記載することが必要ですが、その際、外洋レース規則2009第3条(下記)はRRS規則42.3(h)を踏まえた記述内容になっており、帆走指示書の記載内容の参考になります。

「外洋レース規則2009 第3条 エンジンの使用」
『落水者救助、遭難艇(船舶)救助、他の船舶との衝突回避(緊急避難)、離礁その他の緊急かつ切迫した事態に対処するためにエンジンを使用することができる。(RRS42.3(h)参照)
但し、エンジンを使用した場合には、その状況(使用した目的・時間・場所等)について、フィニッシュ後レース委員会に速やかに報告しなければならない。』

 

レース艇がレース中にエンジンを使う場合には
   レース中、緊急事態や荒天対応でエンジンを使う場合、緊急避難に必要な最低限の時間、方向、距離で使うのが基本です。次のマークやフィニッシュに対して明らかに有利な方向に使ってはいけません。そして、必ずレース委員会にその内容を報告することが必要です。なお、レース委員会は不適切なエンジンの使用方法だと考えたら、抗議をすることができます。
    本格的な外洋レースや船舶が行きかう海域でのレースでは、万が一の事態でも安全なレースができるように、是非、帆走指示書で規則42.3(h)を適用してエンジンの使用を規定してください。(大村雅一 JSAFルール委員会副委員長)

「がんばれ東日本!」
ナショナルチームがオランダで復興支援

2011年5月26日



JSAFナショナルチームはヨーロッパ遠征の真っただ中ですが、今はオランダのメデンブリックでデルタロイド・レガッタに参加しています。

本レガッタでは日本チームの選手、コーチが「がんばれ東日本!」キャンペーンのステッカーや旗を掲げ、日本の復興支援を呼びかけています。
この地の人々も東日本大震災には強い関心を抱いており、大会メディアチームが日本の選手を連日、取材しています。

昨日は、被災したラジアル女子の高橋香選手に対するインタビューがありました。
高橋選手は被災地である福島・いわきの出身。
津波で練習艇を失い、ホームポートで練習できなくなり、和歌山のナショナルトレーニングセンターへ移動して練習を重ねてきました。

レース終了後にはムービーの撮影が行われたのですが、その撮影現場にオランダセーリング連盟の理事ロブ・フランケン氏が登場して周囲を驚かせました。
彼は、「オランダがチーム・デルタロイド(オランダのナショナルチーム)が25枚のステッカーを購入する」と発表しました。
スッテカーや旗はウエイマス大会から販売すると伝えてあったのですが、オランダが先行して予約申し込みをするということなのです。
そして、「オランダに続いて、他の国々も日本の復興支援に協力するであろう」とコメントしていました。

レガッタの現場にはISAFのメンバーもおり、先月のISAFミッドイヤーミーティングでの河野JSAF会長のスピーチをしっかり受け止めて、みなさんがこのように対応して下さっています。

この取材の様子はデルタロイドレガッタ のウェブページに掲載されています。
こちらの方々にとっては「がんばれ東日本」のフレーズは覚えにくいようで、「Gambare!」のひとことが日本の復興支援の象徴のようです。(レポート/斉藤愛子・JSAFオリンピック特別委員会)

デルタロイドレガッタ
http://www.deltalloydregatta.org/news/regatta-news/gambare/

デルタロイドレガッタ JSAF現地レポート
http://jsaf-osc.jp/cn03/pg03_w49.html

ステッカーを手に復興支援を呼びかける高橋香選手

関コーチのボートにも復興支援の旗が翻ります

山崎達光名誉会長への感謝の会

2011年5月25日
 

並木茂士JSAF顧問の乾杯の発声を受ける山崎名誉会長

 

 

5月21日、東京・交詢ビルデイングにおいて「山崎達光名誉会長への感謝の会」が開催されました。

2000年から10年の長きにわたりJSAF会長を務められた山崎達光氏は、この春、JSAF名誉会長に就任。その功績を称え、感謝するために150人以上の参加者が参集し、楽しいひと時を過ごしました。

山崎氏は高校生の時にヨットと出合い、早稲田大学ではヨット部に所属しA級ディンギーに乗艇。卒業後にライトニング級で相模湾を走り、その後1966年に24ft艇で鳥羽パールレースに初めて参加し総合2位。その後、歴代のサンバードを駆り、国内の数々のレースを制するとともにトランスパックレース等にも参加。そして、ニッポンチャレンジを率いて1992年、95年、2000年の3回にわたりアメリカズカップに挑戦したことで知られています。

「アクティブな名誉会長としてこれからもセーリング界に寄与していただきたい」との河野博文JSAF会長の言葉が象徴するように、今もサンバードフォーエバーで相模湾を走り回る山崎名誉会長。これからも多くの仲間と楽しいセーリングを続けられることでしょう。(写真・濱谷幸江)

パーティに駆けつけた石原伸晃JJYU会長

 

ジャーナリストの木村太郎氏もセーリング仲間です