時間を経たモノにまつわる話には諸説ありますが、海のファッションもその伝統を紐解こうとすると、さまざまなエピソードが聞こえてきます。そんなエピソードをご紹介するこのコラム。へぇー、そんなワケがあったのか・・・・・・とちょっと驚いてください。
4月14日につづいての2回目の本コラム、今回は懐かしのセーラー服についての話です。
その昔、船乗りは、髪を後ろでまとめて縛り、首の周りには布地を当てていたそうです。髪の毛や髪油で衣服が汚れるのを防ぐためで、航海中は首の周りに当てた布地だけを交換していたようです。また、布地を耳の後ろで立てて船上での集音効果を高めたり、寒さ対策であったり、顔を拭く時に活用したとも言われています。おそらく、海に生きる船員の格好は、一般人には珍しく新鮮に写ったことでしょう。
その後、最強を誇るイギリス海軍が、首周りに布地を配した船員の格好(セーラースタイル)を軍服のデザインに採用したこともあって「セーラースタイル」は海の男のシンボルとして世界の海軍に伝播して行きました。
ところで日本にセーラー服が登場したのは1920年頃と言われています。
男性用の学生服は陸軍服を模してデザインされました。そして、男性が「陸」なら女性は「海」というわけで、女性用は海軍服である「セーラースタイル」がデザインされたという説。また、男性は士官で女性は水兵という時代を反映した理由でセーラー服が誕生したなど諸説あります。
いずれにしても、この頃に日本のセーラー服が誕生し、全国に広がったことは事実のようです。どうやら、セーラー服は古き海洋文化を継承した正真正銘の「マリンスタイル」であると同時に、日本の社会風潮を反映した文化衣装でもあるようです。