JSAFの前事務局長の武村洋一さんは、1992年、95年、2000年の3回のアメリカズカップに挑戦したニッポンチャレンジの事務局のスタッフだった。
それらの在職中に、武村さんから様々なお話を伺う機会が折々にあった。
最高におもしろかったのは、早稲田高等学院ヨット部、早稲田大学ヨット部時代の武勇伝。昭和27年(1952年)の宮城国体で、故並木茂士(前JSAF顧問)をクルーとして優勝した話、合宿所での逸話の数々。その後、香港~マニラレースに参加するために日本から香港へ回航した、GPSもない時代の長距離航海の話。
どれもこれもが、シーマンシップとは何ぞやを示唆する、セーラーにとっては有益なエッセンスが凝縮された話ばかりだった。そして、J-SAILINGにも海で生き残る術や心構えについて折々に寄稿いただいた。
その武村さんが、書籍を発表した。
タイトルは「古い旅券―ヨットに親しんで六十余年 あるオールドソルティの追憶」。「古い旅券」の意味は本書を読めばわかるという。今年で80歳になった武村さん。六分儀で天測したという氏が、最先端ツールである電子書籍という形で著作を出版するのは誠に絶妙である。
抱腹絶倒&納得至極の逸話の数々。若いセーラーにとっては、今ではなかなか聞けないし体験のできない、オールドソルティの滋味あふれる経験談になっていることは間違いないだろう。
本書はエスアイピー出版センターから出版され、アマゾンから発売。下記のURLから購入できる。(J-SAILING編集部)