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コラム 「海のファッションにはワケがある」

2010年7月7日 水曜日

Illustration by Tadami

時間を経たモノの発祥にまつわる話には諸説ありますが、海のファッションもその伝統を紐解こうとすると、さまざまなエピソードが聞こえてきます。そんなエピソードをご紹介するこのコラム。へぇー、そんなワケがあったのか・・・・・・とちょっと驚いてください。

今回は「汗とアンダーウエアー」の話です。

人間の汗は体温上昇を防ぐ役目があり、ムダに水分を放出している訳ではありません。

汗は蒸発して乾くときにエネルギーを必要とし、このとき身体の熱カロリーを使って気化し、同時に体温を下げる役割を果たしています。だから汗がうまくかけなくなると、体温は上昇し続けて死に至ることもあるのです。ちなみに犬には汗腺がないので汗をかけません。いつも口から熱を発散して、体温をコントロールします。簡単に言えば、人間の汗はオーバーヒートを防ぐ自動車のラジエーターと同じ役割なのです。

一方で、身体が濡れたままだと気化熱として奪われるカロリーの消耗は激しく、体温と体力は著しく低下します。風呂あがりに油断して風邪を引くのはこのためです。汗は体温コントロールに不可欠な存在ですが、逆に放置すると厄介者でもあるのです。我々が考えるべきは、汗とうまく付き合うことであり、その手段としてアンダーウエアーがあります。

セーリングにお勧めは、暖かさを重視したアンダーウエアーよりも水分(汗)の吸水を重視した素材です。

人間が体を動かすと、冬でも蒸気(汗)を発散して体温はコントロールされます。汗(液体)となって見えないだけで、体を動かすと素肌からは常に蒸気を発散しているのです。そこで、吸水性の高いアンダーウエアーを着れば、素早く水分や湿気を吸水し、気化熱によるカロリー消耗を防いで体温低下を防ぐことができます。

綿素材は吸水後に乾くのに時間がかかり、その間は身体からカロリーを消耗し続けるのでスポーツシーンではお勧めできません。マリンスポーツでは、汗以外の水分も浸水することがあるので、なおさら避けるべきです。体感する寒暖差が大きいセーリングでは素肌を常にドライに保つことが理想で、素肌に接するアンダーウエアーは有効なコンデイション対策なのです。

暑さや寒さなどの体に感じる肉体的なストレスが長く続くと、それは精神的なストレスに転じて、判断力が鈍り事故につながることもあります。快適なセーリングをするためにも、吸汗性の高いアンダーウエアーを着用することからまずは始めましょう。