2010年5月 のアーカイブ

コラム
「海のファッションにはワケがある その2」

2010年5月17日 月曜日

Illustration by Tadami

時間を経たモノにまつわる話には諸説ありますが、海のファッションもその伝統を紐解こうとすると、さまざまなエピソードが聞こえてきます。そんなエピソードをご紹介するこのコラム。へぇー、そんなワケがあったのか・・・・・・とちょっと驚いてください。

4月14日につづいての2回目の本コラム、今回は懐かしのセーラー服についての話です。

その昔、船乗りは、髪を後ろでまとめて縛り、首の周りには布地を当てていたそうです。髪の毛や髪油で衣服が汚れるのを防ぐためで、航海中は首の周りに当てた布地だけを交換していたようです。また、布地を耳の後ろで立てて船上での集音効果を高めたり、寒さ対策であったり、顔を拭く時に活用したとも言われています。おそらく、海に生きる船員の格好は、一般人には珍しく新鮮に写ったことでしょう。

その後、最強を誇るイギリス海軍が、首周りに布地を配した船員の格好(セーラースタイル)を軍服のデザインに採用したこともあって「セーラースタイル」は海の男のシンボルとして世界の海軍に伝播して行きました。

ところで日本にセーラー服が登場したのは1920年頃と言われています。

男性用の学生服は陸軍服を模してデザインされました。そして、男性が「陸」なら女性は「海」というわけで、女性用は海軍服である「セーラースタイル」がデザインされたという説。また、男性は士官で女性は水兵という時代を反映した理由でセーラー服が誕生したなど諸説あります。

いずれにしても、この頃に日本のセーラー服が誕生し、全国に広がったことは事実のようです。どうやら、セーラー服は古き海洋文化を継承した正真正銘の「マリンスタイル」であると同時に、日本の社会風潮を反映した文化衣装でもあるようです。 
 

420級が借りられます!

2010年5月14日 金曜日

2009年ISAFユースワールドから(photo Dave Kneale/Volvo Ocean Race)

世界のユースやアンダー19の世界で普及しているディンギーである420級ですが、残念ながら日本ではあまり普及していません。

そこで、420級ってどんなボートなのかを知ってもらうおうと、JSAFオリンピック特別委員会、同ジュニア・ユース育成強化委員会、和歌山セーリングクラブでは420級の貸し出しシステムを作りました。

ユースの選手に知ってもらいたいということで、2011年3月24日時点で満15歳以上、かつ1993年1月1日以降に生まれた19歳未満の選手が貸し出し対象者となります。

同じ条件でRS:X級の貸し出しも行っています。貸し出す際の条件、料金、引渡し場所などの詳細はオリンピック特別委員会のホームページを参照してください。http://jsaf-osc.jp/cn06/pg20-14.html

本の紹介 痛快海洋冒険小説
イアン・ローレンス3部作

2010年5月10日 月曜日

14歳の少年ジョン・スペンサーが主人公となって、新米セーラーとして経験を積みつながらさまざまな冒険に遭遇する成長物語です。第1作の日本での発行は2001年ですから新しい作品ではありませんが、図書館の児童書コーナーで偶然に見つけて、手に取りました。

第1作「The Wreckers 呪われた航海」でスペンサーは初めての航海に出ますが、いきなり難破の憂き目に遭います。冒頭から嵐のシーンで、あっという間に浜に打ち上げられ、かろうじて一命をとりとめたところから話は始まり、その後は波乱万丈。ミステリアスな展開で、ハラハラドキドキなシーンも満載。

第2作「The Smugglers 死をはこぶ航海」では密輸船事件に巻き込まれ、敵か味方かもわからぬクロー船長の下、ドーヴァー海峡を縦横に帆走します。馬車強盗が船に乗り込んできたり、目の見えない老婆が登場したり、と謎が謎を呼ぶ展開です。

第3作「The Buccaneers 闇にひそむ海賊」では舞台をカリブ海に移し、スケールは大きくなります。あの悪名高い伝説的な海賊ディヴィー・ジョーンズ(漫画ONE PICECEや映画パイレーツ・オブ・カリビアンにもこの名前は出てきます)のエピソードなども登場。前2作のキャラクターも登場し、仕かけられた伏線も効果的で、3部作のなかではもっとも面白く仕上がっています。

どの巻とも3時間ほどであっという間に読めてしまいますので、風待ちなどのときに読むのもいいかもしれません。

筆者のイアン・ローレンスはブリティッシュコロンビア州のガルフアイランズの孤島に暮らすカナダ人。9歳でセーリングを始め、今も木製のカッターに乗る現役セーラーということで、セーリングシーンは臨場感があります。発刊当時は「宝島」を書いたスティーブンスンの再来との評価を受け、第1作はエドガー・アラン・ポー賞に候補になったということです。(3作とも理論社・刊、イアン ローレンス・著、三辺律子・訳。)

The Wreckers 呪われた航海

The Smugglers 死をはこぶ航海

The Buccaneers 闇にひそむ海賊

なお、以前、このブログで紹 介したヨットが登場する小説「風の靴」(講談社刊・朽木祥著)が産経児童出版文化賞の大賞に選ばれました。
http://sankei.jp.msn.com/culture/books/100505/bks1005050933000-n1.htm

沖縄・東海レース2010 終了

2010年5月7日 金曜日

5月6日 13時30分に<MIROKU 2>がフィニッシュして、沖縄-東海ヨットレースは終了しました。

成績は下記のとおりです。(成績・艇名・タイプ・所属・オーナー名の順)

1位 <GUST>(Cockson12m)     東海 青山耕三
2位 <朝鳥>(Ian Marray 43)        東海 田村愼一
3位 <トレッキー>(MUIR-40)          三崎 新田肇
4位 <貴帆/Team Aomori>(X-37)津軽海峡 北田浩
5位 <HINATA-MARU>(J/V-40) 内海 武久政嗣
6位 <ESPRiT>(SWAN-56)                 三崎 河本二郎
7位 <COCORIN interland>(Elliott-16m Schooner) 湘南 松永格
DNF <サシバ5世>(FIRST45F5)     沖縄 東江正喜
DNF <Mondaynight>(Sprint-51)  東海 岡田清春
DNF  <MIROKU2>(YOKOYAMA12m)   東関東 伊藤猛
DNF  <PETITE>(VITE31)                  西内海 松本龍三郎
DNC  <Bengal7>(Ohashi46)            東海 邨瀬愛彦

なお、表彰式は5月22日14時に蒲郡市民会館において行われる予定です。
選手のみなさま、運営スタッフのみなさま、ご苦労様でした。

沖縄・東海レース2010 http://okinawa.toscrace.jp/

沖縄・東海レース2010
ファーストホーマーGUSTの平野恭行艇長にインタビュー

2010年5月6日 木曜日

GUSTのメンバー。右端が平野恭行艇長(photo by Noriyuki Suzuki)

沖縄・東海レース2010にファーストホームした<GUST>の艇長 平野恭行さんに、フィニッシュの翌日(5月5日)、電話でインタビューしました。

スタート前のゲームプランは、「まず、安全第一。そして、大型艇にどのように対抗するかを考えて走ろう」というシンプルなものだったといいます。ただ、コースに関しては「スタート前に決めていた」とのこと。というのも、回航メンバーが奄美諸島のあたりを通過したときに逆潮を確認したため、スタートしてからは東寄りのコースを引こうと決めていたということです。

これが「たまたま功を奏した」というわけで、西側をとった艇団を置き去りにし、奄美大島あたりからトップを走り始めはじめました。クルーの中から笑みが出るようになったのは九州の南部に達した辺り、後続艇を40マイルほど離した頃から。その後、蒲郡と後続艇団の間にいる限りは安心と考えて、無理をせず、博打は打たず、たとえ1、2ノット艇速が遅くとも、あせらずに走っていこうという方針を立てました。

同艇のレース・メンバーは3月頃に決定しました。まず、スキッパーとして高木裕さんが決まり、次に豊田哲郎さんが通信担当として、そして<パラフレニアン>に乗る大東信幸、小菅広司の両氏が決まり、最後に原健さんが決定。そして艇長の平野恭行さんという陣容です。「でも、みんなでいっしょ乗ったのはこのレースが初めて」とのこと。また、オーナーの青山耕三さんも乗艇の予定でしたが、スタート当日、都合のため急遽、乗艇できなくなりました。

今回、日本のヨットレースで初めて採用されたOCトラッカーをスマートフォンでチェックしつつ、全体を把握しながらレースができたのでとてもやりやすかったと平野艇長。「長距離ヨットレースを面白くしてくれる素晴らしいツールですね」

レース中、常に朝凪、夕凪につかまり、熊野灘沖で4時間ほど風速2、3ノットの時があったときも、「それほどイライラしなかった。食料はたっぷりと積んでいましたから(笑)」といいます。一方、四国沖で17~18ノット吹いたときが最高風速で、大型艇の動向が気になったということでした。

「無事にフィニッシュできたことが最高にうれしい。安全第一を考え、整備に時間と費用をかけていただいたオーナーに感謝したい」と平野艇長。フィニッシュ時、青山オーナーが迎えに来て、「(ファーストホームするなんて)とんだことをしてくれたな。これでやめるにやめられんことになった、次もやらんといかんな」と言われたのが印象的だったとのことでした。

沖縄・東海レース2010 http://okinawa.toscrace.jp/