‘トピックス’ カテゴリーのアーカイブ

雲の写真集
「高度1万メートルから見た雲たち」

2010年3月17日 水曜日

以前、NHKのハイビジョン特集だったかでオーストラリアに出現する長さ数千キロに渡って伸びる筋状の雲「モーニング・グローリー」に関する番組を見たことがありました。その雄大な姿にはただただ驚かされたのですが、その雲を「雲の上」から一目見ようと世界中からグライダー乗りが集まっているのを知ってさらに驚きました。さまざまな気象条件が相まってようやく出現する雲ですから、まったく見られないときもあるのだそうで、それでも年に一回、雲の出現しやすい時期にその場所に集まってくるグライダー乗りの情熱に脱帽でした。

その情熱に匹敵するかのような雲に対する熱い思いが込められた写真集が発刊されました。

カメラマン今井正子さんが10年間に撮影した1万枚の写真から厳選して編まれたこの写真集には、高度1万メートルを飛行するジェット機の機窓から撮影した80余枚が収められています。飛行機の窓側の席が嫌いで、しかも座るや否や眠ってしまう私としては信じられないことですが、今井さんは掲載写真のすべてに撮影データはもとより、そのときの撮影状況と自分が感じた雲の印象などを克明に記しています。加えて、気象庁OBの綾一(あや はじめ)さんによる詳細な解説がすべての写真についており、雲の成り立ちの理由がわかる構成になっています。

撮影者の今井正子さんのお父上、今井正人さんはセーラーでもあり、小型船舶用のレーダーリフレクターを取り扱う販売会社の役員。旧NORC時代から、セーラーに対して多くの情報をご提供いただいています。

セーリングに役立てるにはちょっと高度が高すぎるのですが、雲の理屈を知ることは知的な好奇心を満たしてくれます。ひとつとして同じ形の雲はないとのことですが、海の表情もまた同じ。セーリングを終えてキャビンで本書を眺めていると、海から空へ新たなフィールドが広がります。

「高度1万メートルから見た雲たち」(成山堂書店・刊、今井正子・写真と文、綾一・解説、本体価格2800円)

まだ、エントリーできます!
沖縄-東海ヨットレース2010ホームページのご紹介

2010年3月13日 土曜日

今年、久々に開催される沖縄をスタートする長距離外洋レース「沖縄-東海ヨットレース2010」のホームページが開設されています。

JSAF外洋東海ホームページの右下にあるLinksの「沖縄-東海ヨットレース 2010」から入るか、下記のURLでアクセスしてください。JSAFホームページのサイドバーからも入ることができます。http://okinawa.toscrace.jp/

沖縄の宜野湾港マリーナ沖から蒲郡のラグナマリーナ沖へのおよそ720マイルの本レースには、現在、12艇のエントリーがあり、エントリー艇の紹介ページも用意されています。レイトエントリーの締め切りは3月31日。まだ間に合います。
ぜひ、ホームページをご覧ください。

レース概要
日程:2010年4月29日(木)11:55 スタート予告信号
5月05日(水)16:00 フィニッシュラインの維持
5月09日(日)12:00 タイムリミット
コース:沖縄・宜野湾沖→三河湾・ラグナマリーナ沖
部 門:IRC部門(ノーマル以上)、ダブルハンド部門(IRCノーマル以上・ショートハンド)

セーラーと棋士との稀有な出会い。
白石康次郎さんの本が出版されました。

2010年3月8日 月曜日
面白い視点の本が出ました。

白石康次郎さん(海洋冒険家)と羽生善治さん(棋士)の対談を編んだ『勝負師と冒険家/常識にとらわれない「問題解決」のヒント』です。

白石さんに関してはJSAFメンバーなら誰でもご存知。2007年の5OCEANS(ファイブオーシャンズ、単独世界一周ヨットレース)で2位になった様子は、J-SAILINGでもレポートしました。かたや、羽生さんは現在、名人、王座、棋聖、王将の四冠であり、通算タイトル獲得数は歴代2位という棋界の大御所。

対談を通して、羽生さんは「野生の勘を持つ」と白石さんを評し、白石さんは羽生さんを「頭脳のアスリート」と言います。そうした2人がこれまでの人生のハードルをいかに乗り越えてきたのかを、かたや冷静にかたや情熱的に語ったのが本書です。

白石さんが5OCEANSの様子をこれまでにない側面から語る部分はセーラーとして興味津々。いつもと変わりない康次郎節が至る所で炸裂します。一方、将棋という世界の内側を静かに語る羽生さんの発言はクールですが、その視点には人に対するやさしさが垣間見えます。

まったく畑違いの2人の対談なので素朴な質問が飛び交いますが、お互いにていねいにわかりやすく対応するさまは、優れたプロの姿勢です。第4章「社会に対して価値を生み出せ」では、ややもすると社会から遊離しがちな世界に身を置く2人が、どのような形で社会にコミットしていくかの覚悟が見えてきます。

この本に期待したいのは、羽生さんのファンが本書を手にして、これまでまったく縁のないヨットというものを少しでも理解してくれることです。そして、逆もまた真なり。JSAFメンバーのみなさんもこの本を読み、将棋という頭脳のスポーツに興味をもたれることになるかも知れません。

「勝負師と冒険家」(東京経済新報社・刊。白石康次郎、羽生善治・著。本体価格1500円)

一気にヨットが見られるボートショー

2010年3月6日 土曜日

白石康次郎さんのトークショーがステージで開催されました

3月7日までパシフィコ横浜で行われている「ジャパンインターナショナルボートショー2010」に展示されているセールボートをリストアップすると、下記のようになります。

ディンギー
ミラーディンギー、スマートキャット(4.3mインフレータブル・カタマランディンギー)、ホビーブラボー(3.66m)、認定前のミラーディンギー(セールナンバーを取得する前はミラーディンギーと言ってはいけないそうですが・・・)

デイセーラー
ポケットシップ15ftデイセーラー(キット製作可能な合板艇)、アクタス(4.96m デイセーラー)、コンパック

セーリングクルーザー
オセアニス34、ファースト35、サンオデッセイ33i、サンオデッセイ42DS、デイセーラーマークⅡ、デルフィーナ292、バーバリア31、バーバリア35、ハンター31、ハンセ320、ムーディー45DS

その他
サバニ帆船、エオラス号(間寛平さんがアースマラソンで使用しているヨット)

マストが立っていたり、帆が上がっているとついついそちらの方へ足が向いてしまいますが、それ以外に気になったのが「Ocean Fry」。免許不要の2馬力船外機を搭載するカーボン製の折りたたみ式1人乗りボート。レーシングカーの開発を手がける株式会社童夢がリリースした製品です。http://www.dome.co.jp

もちろんJSAFもブースを出しています。ボートショーへ来場の際はJSAFブースにお立ち寄りください。

エオラス号の見学には45分待ちの列ができていました

「Ocean Fry」。全長2535mm、船体重量19.4kg

視覚障害者ヨットの世界選手権。
2013年、日本開催を発表!

2010年3月5日 金曜日

昨年の世界選手権ではセンターボーダーのノエレックス25が使用された(photo by JBSA)

特定非営利法人 日本視覚障害者セーリング協会(JBSA)は、2013年、日本で「第8回視覚障害者ヨット世界選手権」を開催することを発表しました。大会規模、レース海域、日程などの詳細は未定ですが、2013年の秋ごろ、相模湾での開催を予定しているとのことです。

3月5日、ボートショー会場の特設ステージで行われた発表会では、JBSAの安達文洋理事長、飯島賢司副理事長、瀬川紀之事務局長が日本開催に至った経緯、大会イメージ、ブラインドセーリングの特徴などを映像をまじえて説明しました。

ブラインドセーリングの世界選手権は2人のブラインド(視覚障害者)セーラーがヘルムパーソンとメインシートトリマーを担当し、ジブシートトリマーとスキッパー(口頭で情報を伝えるのが役目)をサイテッド(晴眼者)セーラーが担当します。

レースでは7m前後の同一デザイン艇を使用しますが、艇種は主催国の状況に合わせて異なります。昨年、ニュージーランドで行われた第7回大会には10カ国19チームが参加し、全15レースで競われ、日本は国別対抗で3位に入りました。

ブラインドセーリングの魅力は視覚障害者と健常者がチームを組んで、ボートのベストパフォーマンスを引き出すところ。安達さんはその魅力を「風は誰にも見えません。だから、健常者にとっても視覚障害者にとってもセーリングはとてもすばらしいスポーツ。いち早くいい風をつかんだときは爽快です」と語ってくれました。

JBSAでは世界選手権の協力者を募集しています。詳細は日本視覚障害者セーリング協会のホームページ http://www.jbsa.jpをご覧ください。

参考:昨年、ニュージーランドで行われた世界選手権の様子はJ-SAILING77号でレポートしています。

昨年の日本選手団は総勢20名となった(photo by JBSA)

ボートショーで概要を説明する右から瀬川さん、安達さん、飯島さん(photo by J-SAILING)