‘トピックス’ カテゴリーのアーカイブ

J-SAILING83号ができました

2010年6月29日 火曜日

J-SAILING83号の表紙(photo by Noriyuki Suzuki)

J-SAILING83号が完成しました。
そろそろJSAFメンバーのお手元に届くころです。

今月号の表紙は、沖縄-東海レースで優勝した<GUST>の帆走シーンです。

巻頭はその沖縄-東海レースを特集しています。参加全艇の紹介写真、実行委員長の手記、優勝チームのインタビュー、そして日本で初めて採用されたレーストラッキングシシテムのOC TRACKERについて紹介しています。

また、60回を数えた大島レースについてもレポート。最近、参加艇が増加する傾向にあった同レースですが、今年は20艇を超え賑やかなレースとなりました。本レースでは「ヨットレースの見える化」に努力しており、そのレポートもお読みください。

また、好評をいただいている水域紹介シリーズは、山形県セーリング連盟の齋藤和久副会長のご協力を得て、セーリングを学校教育に取り入れる同連盟の積極的な姿勢をレポートしています。

そして、久々にピーター・ギルモア(オーストラリア)の話題が登場。ワールドマッチレーシングツアーに日本人クルーとともに参戦する様子を紹介しましたが、6月27日に終了したポルトガルマッチでは優勝。その健在ぶりを大きくアピールしました。また、この号では日本のマッチレースの様子も紹介しています。

J-SAILINGは年に6回、JSAFメンバーに直接届きます。お届け先はメンバー登録時に記載された住所になりますので、住所変更などがあった場合は所属の各団体へご連絡ください。手続きの詳細は各加盟団体へお問い合わせください。http://www.jsaf.or.jp/dantai/

コラム「海のファッションにはワケがある」

2010年6月21日 月曜日

illustration by Tadami

時間を経たモノの発祥にまつわる話には諸説ありますが、海のファッションもその伝統を紐解こうとすると、さまざまなエピソードが聞こえてきます。そんなエピソードをご紹介するこのコラム。へぇー、そんなワケがあったのか・・・・・・とちょっと驚いてください。

今回のテーマは「デッキシューズ」です。

先月、新しいシューズを買いました。レザーのデッキシューズです。通勤に履いているシューズより少し小さく感じるサイズを選び、今は足に馴染ませているところです。

海に出た時、命を守る防御の基本は足元だと考えているので、海で履くシューズはどんな種類でも真剣に選びます。そもそもヨットは、縦方向と横方向に同時に傾きながら進む特殊な乗り物です。しかも一定の傾斜が保たれるのではなく、不規則な前後左右の揺れが連続するという非常に厄介な乗り物なのです。

日常生活では経験できない特殊な揺れに対処するには特殊な道具が必要になり、そのひとつがデッキシューズというわけで、ヨットで履く靴は海で使う最初の道具ということになるのです。

ところで、あなたは間に合わせのシューズで安易にヨットに乗っていませんか? すべての基本は足元からです。海に出るにふさわしい靴を履き、安心安全なセーリングを楽しんでほしいと願います。

話は変わりますが、世界に名を馳せるデッキシューズメーカーが靴底を開発したときの逸話を紹介します。

氷の上を滑らず歩く愛犬の姿を見て、その足裏にヒントを得て靴底が開発されたのだそうです。犬の足裏には車のタイヤのように水を疎水する細かい溝があり、スリップを緩和するのです。自然の中で発見した偶然が、デッキシューズに形を変え、多くの人命を守ってきました。マリンシューズの名品は、深い観察力から生まれた逸品と言えるでしょう。

自然界には、学び、活かすべき多くの摂理が潜んでいます。もっと海に出て、観察力を磨きたいものです。

和歌山NTCセーリングライブラリー

2010年6月16日 水曜日
 

セーリング映像をチェックする和歌山セーリングクラブのメンバーたち(photo by Kazuya Nakamura)

J-SAILING82号14-15Pで紹介した「和歌山NTCセーリングライブラリー」(J-SAILINGのPDFバージョンでも読むことができます=http://www.jsaf.or.jp/j-sailing/)の追加情報です。

本ライブラリーはパソコンさえあればどこでもいつでも利用できるセーリング映像の検索データシステムです。

この検索データシステムはJISS(国立スポーツ科学センター)が開発したもので、当初はシンクロナイズドスイミング、スキー、柔道など10競技の団体で活用が始まったものです。これらの競技では、過去の大会の映像から見たい場面を探し出す、特定の対戦相手の映像などをデータベース化し対戦に備える、見たいシーンを選び出してイメージトレーニングするなどという、いわばトップレベルの選手向けの高度なツールとして使われています。

しかしJSAFでは、このシステムを誰でもが使えるライブラリーとして活用するようにしました。
たとえば、コーチが練習中に選手の理想的なマーク回航シーンを撮影したとします。この映像がライブラリーに収められたなら、誰もがマーク回航のノウハウを学ぶことができます。あるいは、海上で起こったケースの映像をライブラリーで見られれば、ルールに対する理解は深まるはずです。ちょっと異なる使い方としては、自分の参加したレースや自分が表彰台に立ったレースの映像をライブラリーに置いておけば、パソコンさえあればいつでもどこでもその思い出に浸ることができるのです。

このライブラリーの運用は和歌山ナショナルトレーニングセンター(NTC)で行われます。サーバーは和歌山NTCに置かれ、システム管理も同所で行っています。

この4月から試験運用が始まったこのシステムですが、今のところ、過去の映像が帆走技術編、レース編、ルール編、フィットネス編、イメージ編などに分かれています。

JSAFメンバーにお願いしたいのは、メンバーが撮影したビデオ映像を和歌山NTCに送っていただきたいのです。

たとえば、ルール解釈のわからないケースを撮った映像があれば送ってください。JSAFルール委員会にその映像を検討してもらい、みんなが解釈を共有できる情報をつけて公開するようにします。

ただし、映像は必要でない部分はカットし、WMV、AVI、MPG形式で保存したDVDを送っていただくようにお願いいたします。必ず編集作業を行ってからお送りください。

最後にライブラリーの映像を見る方法を下記に記します。ライブラリーを実際に体験し、どんどん投稿してください!

和歌山NTCセーリングライブラリーの利用方法

1.和歌山NTCセーリングライブラリーを利用するには下記の条件を満たすパソコンが必要です。
・Windows XP、Windows Vista がインストールされていること
・DirectX9 以上がインストールされていること
・Windows Media Player 9 以上がインストールされていること
・インターネットに常時接続されていて、通信速度の下りが1Mbps 以上であること(ADSL、ケーブルテレビ、光ファイバーなど)

2.スマートViewer をパソコンへインストール
本ライブラリーを利用するのはスマートViewerというソフトをパソコンにダウンロードする必要があります。
下記のサイトからインストールしてください。
http://www.ijiss.jp/smart-wiki/
インストール方法
①画面左下の「Quick ダウンロード」の中から、「最新SMART-viewer ソフトウェア」をクリックし、デスクトップに保存する。
②保存したSmartViewer ボタンをダブルクリックし、インストールのウィザードが立ち上がったら、画面に従い設定する。使用承諾契約書は「同意する」を選択し、ユーザー名と所属(県連、学校名など)を記載(これはID とパスワードではありません)、「このコンピューターを使用するすべてのユーザー」にチェックする。インストール先を指定し、インストールボタンをクリックするとインストールが始まり、「完了」画面がでるとデスクトップにスマートViewer のボタンができる。

3.スマートViewer の初期設定を行う
スマートViewer を初めて起動すると、ユーザーID、パスワードの入力画面が出るので、両方を入力しOK ボタンを押す(ID:sailing@jsaf、Password:gosailing)。正しく登録されるとウインドウ下にあるステイタスバー左の表示が「未認証」から「認証済」になり、グリーンにかわる。

4.スマートViewer での閲覧
利用については、スマートViewer のサイトにSMART Viewer 利用説明書として、マニュアルがPDF で掲載されているので、不明な点はマニュアルを見てください。

なお、現在は試験運用期間中なのでどなたでも利用できるようになっていますが、ある時期からJSAFメンバーしか利用できないようになります。その際のID とパスワードについては、あらためて告知したします。

和歌山NTCに置かれたシステムの概要(photo by Kazuya Nakamura)

OCEAN CUP 第20回宜野湾~久米島ヨットレース

2010年6月10日 木曜日

 

沖縄のレースの楽しみは、何といっても温暖な気候の中、島々を巡りながらのレース、毎回盛り上がるパーティ、クルージングを楽しみながらの帰港……まるまる2日間たっぷりと海を堪能できるのが魅力です。

今回ご紹介する「OCEAN CUP 2010 第20回宜野湾~久米島レース」は、沖縄のレースの中でも55マイルと長距離の部類に入りますが、毎年コンスタントに20艇以上が参加、県内だけでなく本土からの参戦も近年増えつつあります。今年で20回の節目を迎える伝統のレースです。

長距離といっても、30ftクラスのクルージング艇やカタマラン艇も数多く参戦しているのが特徴。多くの仲間と島へ行くという楽しみや、第1回からずっとスポンサードをいただいている「リゾートホテル久米アイランド」で行われるホスピタリティあふれるパーティにあるといっても過言ではないでしょう。天気がよければ、ホテルの中庭で開催されるパーティは、食いしん坊のヨット乗りたちを満足させる料理や、毎年工夫を凝らしていろんな演出やゲスト出演で楽しませてくれます。

ちなみにスタート時刻は午前6時と、数あるレースの中でも最も早い部類に入りますが、「小型艇がパーティに間に合わない」という理由で、現在の時刻になったとか。

例年レースが開催される5月末の沖縄は梅雨の真っただ中。梅雨前線の動きによって、風も海況も天気もガラッと変わります。その変化をどう読み、セッティングするかも、各チームの腕の見せどころです。

今年はあいにくの雨模様。東の微風、スピンでのスタートとなりましたが、その後予報どおり風は徐々に南~南西とシフト。座間味を過ぎ、渡名喜島を超えるあたりからは風速も上がり、各艇ともセールチェンジ。このあたりの選択が勝敗を左右したようです。

マックスでは40ノット近くまで達するなど、ハードなレースとなりましたが、大きなトラブルもなく、全艇が久米島兼城港に錨を下ろしました。先頭集団は平均9ノット強の激走で12時すぎにはフィニッシュ。ファーストホームは<Jazz>、修正では<ココリンオキナワ>が2年ぶりの優勝を果たしました。

雨のためバンケットルームでの開催となったパーティですが、変わらぬ大盛況。スペシャルゲストには、あの尾崎紀世彦さんがサプライズで登場。参加者から幾度となくアンコールを求められていました。

もうほどなくすると、沖縄は梅雨明け。本格的な夏がやってきます。(レポート/伊藤 烈、写真/大濱当吾)

 

優勝した<ココリンオキナワ>の面々

 

「セーリングヨットと帆走性能」シンポジウム開催

2010年6月2日 水曜日

セーリングヨット研究会はセーリングヨットに関する研究を活性化させるために、研究発表や情報交換を行うことを目的として活動しています。同研究会が下記の要領でシンポジウムを開催します。有意義な活動と考え、JSAFは協賛しています。

風力を船の推進力として効率よく利用するために、セーリングヨットには様々な工夫が加えられてきました。これらの成果は、現在対応を迫られている大型船舶のCO2排出量削減に向けた、風利用技術にも生かすことができるものと考えられます。

本シンポジウムは、セーリングヨットと帆走性能をテーマに、我が国と世界のヨット研究の現状と今後の発展動向について紹介することを目的として開催いたします。また、テキストはこれからヨット研究を始めようとする方や、船舶に風利用を考えている方々の参考になるものと考えております。

参加資格は問いませんので、ふるってご参加下さい。なお、本シンポジウムの詳細、ならびにセーリングヨット研究会のこれまでの活動については下記ホームページをご覧下さい。(セーリングヨット研究会)

開催概要
主催:セーリングヨット研究会
日時:8月28日(土) 9時~18時
場所:東京大学 本郷キャンパス 山上会館
参加費:5,000円、学生:3,000円(テキスト代含む)。(テキストのみ場合は2,500円+送料)
懇親会:18時~20時 会費5,000円(山上会館食堂=シンポジウム会場階下。懇親会参加は任意)
参加申込先:セーリングヨット研究会ホームページ
http://syra.aero.kyushu-u.ac.jp/
または、セーリングヨット研究会シンポジウム事務局
〒921-8501 石川県石川郡野々市町扇が丘 7-1
金沢工業大学工学部機械工学科 増山研究室(Tel: 076-248-9618)
masuyama@neptune.kanazawa-it.ac.jp
(なるべくメールにてご連絡下さい。詳細は追ってご連絡いたします。)
プログラム
1. 風洞試験とその活用
2. 水槽試験とその活用
3. CFDと数値計算
4. 帆走性能の推定法と操縦運動シミュレーション
5. ニッポンチャレンジとその取り組み
5.1 ニッポンチャレンジ2000の技術開発マネジメント
5.2 セーリングテクノロジーと設計へのフィードバック
6. 大型帆船の帆走性能
7. ウインドチャレンジャープロジェクト
8. 水中翼を用いた高速ヨット
9. ヨットの転覆と安全性