今年3月に行われたアメリカズカップではBMWオラクル・レーシンングがカップを獲得した。photo by Kazu Nishimura
次のアメリカズカップの新しい動きが発表されました。
9月13日バレンシアで行われた記者会見の内容によると、大きく変わるであろう点は下記の通り。
・ウイングセールを持つカタマラン艇AC72を採用
・新しいワールドシリーズを2011年からスタート
・Yuouth America’s Cupを2012年に開催
・短くて見どころの多いレースフォ-マット
・新しい船と適切な風の吹くレース海面によってレースの遅延を減らす
・効果的なコスト削減
この他、映像やインターネットコンテンツ、ウェブサイトに関することを含めていくつかの変更点があり、AC45と呼ばれるAC72のスケールダウンモデルを使ってワールドシリーズを競うこと、クルーの人数が11人になることなども発表されています。さらに、レース開催地などの最終の情報は年末までに発表される予定。
発表を行ったラッセル・クーツ(BMWオラクル・レーシンングCEO)は「新しい艇とレースフォーマットによりアメリカズカップはセーリングスポーツの頂点に返り咲くだろう」とコメントしています。
一方、この新しい動きをよそに、懐かしきアメリカズカップの面々と往年の名艇である国際12M級が米国ロードアイランド州ニューポートに結集します。
「the 2010 America’s Cup 12 Metre Era Reunion presented by Rolex」と銘打たれたイベントが9月16日~19日、ニューヨークヨットクラブの主催で開催されるのです。
国際12M級は1958年から1987年の間、アメリカズカップに採用された艇種。もっとも長くアメリカズカップで使われていた艇種です。それらを駆ってアメリカズカップの挑戦艇選抜レースや防衛艇選抜レース、そしてアメリカズカップ本戦を戦った人や船が、期間中に行われる12M級北米選手権に参加します。昔のアメリカズカップ関係者の大いなる同窓会というところでしょうか。
テッド・ターナー、ゲイリー・ジョブソン、デニス・コナー、ペレ・ペターソン、テッド・フッド、シド・フィッシャーなどアメリカズカップの歴史を彩った多くの人々の名前が参加者の中に掲げらていますが、冒頭の新しいアメリカズカップの影はまったく見当たりません。
時を同じくして動きのあった新旧2つのアメリカズカップ。セーリングスポーツの頂点として語り継がれるこのレースはいつの時代にも多くの話題を提供してくれます。
なお、冒頭で紹介した次回のアメリカズカップの新しいレースフォーマットに関しては、近日中に本ブログで詳しい解説を掲載する予定です。
第34回アメリカズカップ公式サイト http://www.americascup.com/
ニューヨークヨットクラブ・イベントサイト http://nyyc.org/AC12Mreunions/
2009年の12M級世界選手権を走るアメリカンイーグ。G.ジョブソンやT.ターナーが乗り込んだ。photo by www.Amory Ross.com